【勉強会参加レポ】海外のPM事情が知りたくなってオフショアPMのLT会に参加してみた
Contents
開催概要
開催日時:2020年5月8日(金)20:30〜
開催場所:オンライン
企画内容:海外に興味があるエンジニア・PMのためのLT
イベントページはこちら👇
https://polish-color.connpass.com/event/170464/
今回の勉強会では、オフショア開発のPMや、実際に海外で働いているブリッジSEの皆さんの生の声を聞くことができました。
参加者も皆さん海外事情に詳しい方が多く、深い質問も飛び交っていて面白かったです。
登壇内容で特にポイントだなと思った箇所を抜粋してレポートします!
カンボさん / ベトナムでのオフショア開発とベトナム企業でインターンしてた話
まずは、ベトナムでインターンをしていた経験があるカンボさんから、海外で働くことに興味のあるエンジニアさん向けに発表してくれました。
日本人の言う「よしなにやっておいて」は通用しない!が心に響きました・・・(私もミャンマーオフショアで経験あり)
インターン時代
- 初海外でインターン、旅のしおりを買って向かったがトイレをつまらせる(東南アジアではトイレに紙を流しちゃいけない国が多いです)
- 1社目のインターンではプログラマーとしてはまだ実務レベルに足りておらず、英語のドキュメントを日本語にするなどのタスクをしていた
- 社長の会合に呼ばれるw(カンボさんらしいですねw)
- 指差しベトナム帳、というのが便利だった
- ベトナムの人は定時できちんと帰る方が多かった
日本でオフショア開発に関わる現在
- ベトナムとオフショア開発をやっていた会社さんから相談され、開発に携わることに
- アジャイルでやるのは何度も認識齟齬が発生して大変そう
- ベトナムの方の性格を十分把握する必要がある
- 仕事以外のコミュニケーションも大切(ただの作業者、という意識はNG)
- ドキュメントの粒度を変えてみる、ベトナムの歴史や習慣を知る、仕事以外の雑談を取り入れる、などで改善中!
登壇資料
まみたすさん / ベトナム現地でPMをやってぶつかった壁(の数々)の話
つづいて、ベトナム現地でPMをしているまみたすさん!
「ゆったり暮らしたい」という思いから、ベトナムに移住したとのこと。
色々と大変なこともあるようですが、最後のまとめとしては、工夫して乗り越えると良いこともいっぱいある!そうで、楽しい生活が垣間見えました。
ぶつかった10の壁と乗り越え方
英語
- 日本人とベトナム人で英語の発音の相性が悪く、とにかく話して聞いて慣れるしかない
- イラストは世界共通!ホワイトボードノートでやりとりして距離を縮めていった
時間の感覚
- だいたい遅れて出社してくる(渋滞もあって仕方ない)
- 開発の工数見込みもかなりゆるかったので、具体的数値を出してもらうようにした
説明の難易度
- お互い第二言語でやりとりするから、想像で話を勝手に補完してしまう傾向がある
- 対話をインタラクティブにして、少し説明したら理解度を確認、の流れでこまめにチェックしている
チーム・役割
- 分業が進んでいるため与えられた役割だけやる傾向にある
- 明確に期待値などを伝えた上で作業を進めてもらうのが大事
昭和?
- 飲みニケーションなどの社内イベントが多かったりする
- 本当に嫌なことがあったらちゃんと説明し、他の面白いことを提案してみることも
コードレビュー
- ベトナムの方は間違いを指摘されるのが苦手でレビューされるのを好まない
- レビューのメリットを繰り返し説いたり、言葉遣いに気をつけて優しく指摘する
ログを見てくれない
- 正常系のみしか処理しておらずエラー処理していなかったりする
- どのような異常系があるのかわかっていない人もいるのでいろんな事例を説明する
デザイン
- 基本的な部分もできていないような60%の完成度のものが普通に出てくる
- グローバルに使われている良いUI/UXのプロダクトを使ってもらい、意識の底上げをしている
評価が難しい
- 自己評価が高く、給与交渉もガンガンする人が多い
- 360°評価を取り入れたり1on1をするようにして公平さを保てる工夫が必要
サッカーと旧正月
- 締め切りが迫っていても関係ない!仕事が手につかなくなるw
- この時期は生産性が落ちることを見越して計画を立てる
参考ブログ
まみたすさんがベトナム現地にいって2年経ったときに書いた記事だそうです。
牛房さん、浅井さん / セブに来てみたら人間関係ドロドロだった話
株式会社フルスピードから出向中の2人は、ブリッジエンジニアとしての課題と改善策を話してくれました。所属しているのはJavaとPHPを使ってオフショアの成功事例をつくる、という会社だそう。
文化の違いがあるので想定できないことが起きたり、コミュニケーションに時間がかかるという面もあるけれど、違う文化や言語圏で自分の市場価値を高められるのはメリットとのことでした!
人間関係ドロドロだった問題
- エンジニアの考え方的な宗派が違ったことなどが発端で、社内に軋轢が生じていた
- 日本では考えられないことも海外では普通に起きる
- 一緒に働くメンバーとして現地任せではなく日本側からもサポートが必要
- 日本人とセブエンジニアの1on1も大事
長く働いてくれる人がいない問題
- 引き抜きが当たり前にあるので、マネジメントがうまくいっていないとすぐ辞めてしまう
- 教育コストがかかるのにやめられてしまうとチームが固まらず生産性が出ない
- そういった海外のIT人材市場を理解しておいたほうが良い
- 社内イベントを実施してチームビルディングしたり、エンジニアの成長に寄り添う進め方が良い
mikikoさん / オフショア開発のトライアンドエラー
フリーランスPM時代からベトナムのオフショアメンバーと開発を進めてきたmikikoさんからは、これまでにやってきたトライアンドエラーの話が聞けました。
ドキュメントの粒度はとにかく細かく、誰が見ても間違えないくらいの詳細設計を書いているとのこと。すごい。
炎上案件の課題と解決
- 開発フェーズになってからドキュメントがないだの始まった
- 当初の見積もりと全然違って炎上、という経験があった
- モノができたはいいけど質が悪くて手戻り発生ということも
↓ - 開発が始まる前にきちんとコミュニケーションをとって認識を合わせたことで質問は減った
- 開発〜テストを短いイテレーションで確認を多くおこなうようになった
自分の稼働が多すぎる問題
- 体制に問題があり(日本側に自分しかいない)
- ベトナム側の役割を増やしたり、日本側のメンバーを増やす予定
それでもオフショアをやる理由
- エンジニアを確保しやすい(特にモバイル)
- 異文化コミュニケーションが楽しいし、改善される余地がまだあるのが楽しい
まとめ
いつもとちょっと違った視点のPMトークが聞けて、すごく勉強になりました!
登壇した皆さん、誰もが口を揃えて
「オフショアは大変。だけど異文化を知っていくのは楽しい!」
と言っていたのが印象的でした。
私もずっとオフショア開発支社のある会社でエンジニアをやってきたので、苦労も嬉しい瞬間もよくわかる・・・。
次回はぜひ私もミャンマーオフショアの話をしてみたいです。
武蔵野音楽大学卒業後、ヤマハ特約楽器店にて音楽教室の運営企画に従事。2014年にSIer企業への転職でエンジニアへ転向し、証券システム、IoT事業など複数プロジェクトの開発を経験。その後、自社サービス立ち上げや法人向けJava研修サポート講師を経て同社のマーケティングマネージャーを歴任。
データ分析・マーケティングの知見を活かしたITサービスの企画・要件整理支援のほか、プロジェクトチーム構築や情報整理を得意とする。
現在は合同会社PeerQuest代表兼PMアドバイザーとしてプロダクト開発組織の内製化を支援している。認定スクラムプロダクトオーナー(CSPO)取得。