未経験にプロジェクトマネジメントを教えて2週で設計理解できるようになるまで

りゅう / 常盤龍司

こんにちは。9月から法人が2名体制になり主力事業であるDXコンサルのプロジェクトマネジメント部門をチームで分業対応していくことになりました。これに合わせてプロジェクトマネジメント未経験の弊社パートナーに業務を伝えていったところ2週間である程度自走できるようになりましたので共有します。

利用ツール3選

まず今回主に使っていったツールについてですが以下の3点になります。

  • figma
  • スプレッドシート
  • WordPress

figmaを重用した理由としては「テキストより図解で見える化した方が理解度も作業度も飛躍的に進む」というところからです。プロジェクトマネジメントをするにあたってプロジェクト全体の見える化が重要になりますがUI UXデザイナーと分業するとしてプロジェクトマネージャーはスプレッドシートを多用する傾向が多いと思います。これまでは分業でもよかったのですがDXをするにあたって社内共有だけできればよかった頃から変化をしてきました。クライアント様やステークホルダーへの説明をする機会が従来より増えてくるにあたってテキストだけだと情報の齟齬も生まれやすくなっているため、予防として情報の入り口を図解にしました。

スプレッドシートはテキスト情報の網羅性、抜け漏れダブりをなくすために集約させるようにしました。figmaですとプロジェクト全体のイメージを固めることは簡単になるのですが、実際の取り決めをどのようにしているかなどの仕様部分を明確にする段階ではテキスト検索がしずらい(プラグイン Find & Focus を使うことで検索自体はできる)のです。スプレッドシートですとシート単位の文字検索がしやすく、文章単位で整理整頓もしやすい点、行単位の編集がしやすい点などを踏まえて関係者との合意形成をする内容についてはスプレッドシートを採用しています。

次点としてAdobe XDになるのですが、figmaと違い制作物のバージョン管理がしづらい点とオンタイムで編集動作がリモートで確認できるのがfigmaの方ということで圧倒的な差別化要因になりました。

WordPressの採用についてですが、具体的に開発をするということではありません。実際にテスト運用しているCMSの画面遷移を1画面ずつ見ながらfigmaに図解していく目的でつかっています。UIトレースの高度差までは求めず、画面遷移のワイヤーフレームをボックスだけで表現するとか基本的な挙動を理解してもらうだけでゴールにしています。これをやる上でどうしてもプログラミングが動く原理原則を知る必要もでてくるので、課題にぶつかったタイミングでしっかり対話して理解を深めるようにしました。

最初の一つは目の前で作る

ツールの使い方や目的を伝えたからといってすぐにできる訳ではもちろんありません。特にIT業界を未経験の人にとってWebとはどういうものなのか?を伝える部分から知識0からのスタートです。人の理解度曲線として初期段階でどれだけ具体的に方法がわかっているかどうかが伸び代が早く高い成長に直結します。

初めて作業することはベテランでも困惑するものです。未経験にとっては「何がわからないかがわからない」状況がデフォルトであるということを理解して、依頼した仕事の一部分を目の前で実際に作業を行いながら解説していきます。

テレワーク推奨になってきて対面では難しい!という場合はzoomなどのビデオ会議で画面共有を行いながらでも良いですが、figmaですと実際の作業状況をfigmaで確認してもらいつつzoomの画面共有なしで解説できるようになるのでパソコン負荷も軽減できて説明コストの低下も後押ししてくれるのでfigmaはおすすめです。

納得するまで対話を重ねる

初回の作業について一通り説明できたからといって安心してはいけません。実際に話をしてみて相手の反応が即座に納得している様子で帰ってこない場合、何かしらの疑問点が残っている可能性が高いです。ここに気をつけるかどうかが教える側に問われる部分となります。

テレワークでコミュニケーションが円滑にできずに悩んでいる。という声はよく聞くのですが、雑談の話を増やせば良いとかでは根本的な解決にはなりません。「相手が悩んでいることをモヤモヤレベルで感知して先読み解決していく」のが今後のプロジェクトマネジメントでは重要になるかなと考えています。そうなると現場で座って決済しているだけの専門家上がりの上司タイプはどんどん仕事がなくなっていくのではないかなと感じるところでもあります。

弊社の場合は業務自体はフルリモートでクライアント対応をしているため、議事録や対話の記録などはテキストでしっかり残すようにしています。この辺りになってくると進捗管理ツールでの運用になってきますので今回の内容からは外れてくるのですが、Jiraを使うことで誰がどのタスクで悩んでいるかの見える化ができるようになってきたので次回の記事でJira活用については書いていこうと思います。

いつでもフォローできる体制

リモート前提で業務を受けている弊社ですが、現状は主要メンバーであるパートナーとは対面で意思疎通をするようにしています。隣で仕事をしているとちょっとした雰囲気の変化にも気づけるのでチームで仕事をする初期は対面の頻度が重要だなと感じるところではありました。これまで1人で取引先とのやり取りばかりしていた頃には気づけなかった視点でした。信頼が固まる段階にチームが進むまでは対面と言わずとも、気軽に声をかけられるし適度に緊張状態をほぐしやすくするということも重要だなと感じました。

指示割合は25%以内

1から10まで指示すればその場では目的は達成できると思います。ですが指示待ち状態が避けられなくなるので極力自身で考えて実現できるように指示割合は一部だけにするようにしました。50%を超えてくると業務の設計は指示側が終わらせて指示を受ける人が作業をするだけの割合で考えています。

ここになると作業者となり単なる代行ですので本人のスキル向上に少ない影響だけ与える形となり手作業としては覚えるが、どのような理論や考え方で作業に至るのかが理解できません。プログラミングを学習したい人が写経だけをしていて本を読んだり勉強会に参加しなかったりする状態によく似ていると感じます。

実際に自分がプログラミングを習得する初期は写経をしていたのですが、何の理論と情報が必要なのかわからずにいたため成長がとても遅かったです。本で読んだり勉強会に参加する、自分でシステムやサービスを作ってみるようになって設計を考えるようになってから技術の取捨選択もできるようになりました。

基本を全て習得しないと応用はできないという考え方が少し前までは一般的でしたが、今はそうではなくて「基本は最低限でも自分で考えられる人は応用に至れる」ということが段々とわかってきました。

スケジュール7割まで任せる

チームで仕事をする上で安心して仕事ができる環境作りを大事にするようにしています。納期についても最終的に責任を持つのは代表たる私なので、自分がフォローアップできるギリギリまではやり方や進め方は一任するようにしています。なんなら歌いながら仕事をしてもらっても全然いいよって雰囲気出してたら日常的に歌声がこだまする職場環境になりました。みんな自由でみんな良いです。

おかげさまで最近は自分の本来したかった仕事である自社プロダクトに注力できたり、こうやって執筆ペースが上がってきたりと良いことも増えてきました。パートナーもおおよその設計やプログラミング初級ほどの内容は理解できるようになったので何をするにしてもビジネス思考で会話できるレベルが一気に上がりました。

まとめ:自主性を育てるのが最優先

何もわからない前提なのが未経験として話をしてきましたが、技術や処理能力をあげるのはタイミングとして初期ではなくて良いという考えでいます。従来の働きかたですと時間当たりに報酬が発生しているので時間内を有効に過ごしてもらうために意識をむけやすいのですが、本質的な働きかたで考えると手段だけ磨いても自発的に動けない人材のまま未経験の時期を過ごしてしまうと成果にコミットできない人になってしまう懸念があるので弊社では時給換算の報酬形態を廃止することにしました。

その代わりに時短で仕上げられるようになった部分を歩合として正当な評価を出せるようにしています。業界自体は人月単価で評価されるのが当たり前ですが、このあたりから変えていきたいなと思うところでした。

次回はJiraで社内の全プロジェクトを1プロジェクトとしてまとめて管理すると全集中の呼吸ばりの進捗が出せるようになったお話です。

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この記事を書いたPM
りゅう / 常盤龍司
@ryuji
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美容師からデジタル系7事業を立ち上げエンジニア、講師、ギルド型開発チームの運営等を経て株式会社ユニクシィを設立。現在はDXコンサルティングとしてITビジネスの立案、持続可能なシステム内製化、組織開発を提供している。業務フロー改善が得意。