初めての0→1システム要件定義を乗り切るメソッド(商談編)

鈴木孝之 / kanbo

皆さん、こんにちは!
株式会社Re:Build代表のカンボです!
今回は初めての0→1システム要件定義を乗り切るメソッドを書いていきます。
私自身、独学で誰かに教わる事なく2年半近くやってきて、大変でしたのでまとめさせて頂きました(^^;

本記事の対象者

  • 初めてまたは、商談に行くのがまだ慣れていない開発会社のPMもしくは技術営業の方。
  • 開発会社のPMもしくは技術営業を目指している方。
  • この記事は初めて商談から、要件定義の初期段階をやる方向けに書いています。

前提条件

  • 今回のクライアントの情報としては下記とします。
    • 20人規模の会社。
    • 先方にエンジニア、Webデザイナーはいない。
    • 新規事業として、不動産系のサービスを開発したい。
    • 非IT企業なので、ワイヤーフレームを作ったりはできない。
  • 開発会社の情報としては下記とします。
    • 10人規模の受託開発会社
    • エンジニア出身の経営者1人、エンジニア5人、デザイナー2人、バックオフィス2人の構成。
    • 創業2年目。
  • 本記事は下記の工程の中の2番までを解説します。

商談について

事前準備

  • 商談に行くメンバーを決めます。基本的には1人が喋って、もう1人がメモを取った方が抜け漏れがないので、2人で行くことをオススメします。
  • メンバーを決めて、まだ経験が浅い人がいたら事前に質問の洗い出しから商談の練習をしておいた方が良いと思います。
  • 商談先の会社のコーポレートサイトを見て、会社規模や創業年数、事業内容をしっかり把握します。できれば、その他の情報も含め、共通の話題は洗い出しておいた方が良いです。

商談での確認項目

商談に行く前に確認項目を洗い出しておきましょう。主な確認項目としては、私は下記の項目を確認するようにしています。

契約周り

  • MAXの予算はいくらでしょうか?
    • これを聞いておかないと、開発するにあたって、見積もりを出した後にそもそも、予算がなかったという事になりかねない。ただ、予算はお客さんによっては、話したがらないので、様子を見て、深追いはしない方が良いでしょう。
  • 納期はいつでしょうか?
  • 納品後の検証期間はどれくらいか?
  • NDAと業務契約書はどっちが用意しますか?
  • 支払い方法は分割で大丈夫でしょうか?
    • 2〜3分割が一般的。納品後に一括はリスクが高いので、必ず避けた方が良い。
  • 請負契約でしょうか?準委任契約でしょうか?
    • お客さんの属性によって、こちらからも提案するとスムーズだと思います。例えば、スタートアップ企業で少人数の会社なら、仕様変更が激しいので、アジャイルで準委任契約にしておいた方がトラブルになりにくいです。逆に大手企業の場合は、作業進捗やスケジュールや納期が明確になっていた方が安心するし、予算も確保しやすいので、請負の方が良い場合があります。
  • このプロジェクトのステークホルダーを教えてください。
    • それぞれの役割を確認をしておかないと、いざプロジェクトが始まった時に誰に質問して良いかわからない時がある。また、別の外注業社などが入っているとややこしいので、確認しておいた方が良いでしょう。

仕様周り

  • このサービスは何の課題を解決したいのでしょうか?
  • このサービスの要件は何でしょうか?
    • いつ?
    • 誰が?
    • 何のために?
    • どこで?
    • どのように使うのか?
  • マネタイズはどこでするのでしょうか?
    • 決済が関わる部分は仕様にも関わってくるので、事前に知っておくと後がスムーズになる。
  • 使用する技術は指定はあるでしょうか?
  • 使用するサーバの指定はあるでしょうか?オンプレだと、地獄になりかねないので、チェックしておくと安心です。

商談でのコツ

  • まずは自分から自己紹介する。
    • 相手から自己紹介してもらうと失礼だと感じる人もいるかもしれない。
  • 最初はアイスブレイクを意識して、雑談を入れる。
    • いきなり、仕事の話から入ると、まだお互いの仲が深まっていないので、その後の商談が固い雰囲気や険悪な雰囲気で始まると条件交渉でも不利になる場合がある。
    • 事前に洗い出しておいた共通点を元に話を広げる。
  • こちらも提案しやすいように相手が何に困っているのか聞いていきます。
  • 課題がわかったら、実現したいシステムの要件を聞きます。
  • 要件を聞いた上で自分の中での感想や追加機能のアイディアなどもその場で思いついたら、相手に好感を持たれて良いと思います。
    • ただ単純に機械のように要件を聞いて、システム的に実現可能か不可能か回答するだけだと、お客さんも少し冷たく感じる場合がある。
    • こちらからも提案があるとお客さんもただの開発会社ではなく、顧客視点で一緒に開発してくれる会社だと思ってくれる場合がある。
  • 要件を聞いた上でピンと来なかったら、既存のサービスだと何に似ているか確認する。

提案書について

商談で要件を聞いた中でお客さんが企画書やワイヤーフレームを持っていなかった場合は、自分でサービスの提案書を作成する場合もあります。
提案書の項目としては、下記を書いていきます。

  • 1.課題
    • 何の課題を解決するのか?
  • 2.ターゲット
    • このサービスのペルソナは?
  • 3.ソリューション・プロダクト
    • どんなサービスで課題解決するのか?ECサイト?
    • どの部分でお金が動くのか?クレジットカード決済?
    • どんな技術で開発するか?
      • Webアプリかネイティブアプリか?
  • 4.スケジュール
    • どれくらいのスケジュールで開発できそうか?

もし、Webアプリかネイティブアプリか決まっていなかったら、こちらとしての考察やメリット・デメリットを提示した上で判断してもらうと親切でしょう。

Webアプリとネイティブアプリの比較例
参考文献:https://techpartner.jp/blog/webapp-nativeapp

機能一覧表について

商談の中で得られた情報で可能な限り、機能を洗い出して、機能一覧表を作成する。
厳しい場合は、一度、ユースケース図などを作成して、お客さんの頭の中の情報を整理しても良いかもしれないです。

ECサイトのユースケース図の例

機能一覧の例

見積もりについて

上記の機能一覧でOKが出たら、見積もり作業を行っていく。見積もり段階で予算がもらえるなら、ワイヤーフレームの作成まで終わった段階で見積もりに入った方が見積もりのズレが減るのでオススメ。

  • 機能ごとで工数を見積もっていく。
  • 余裕があれば、第一フェーズと第二フェーズで分ける提案をすると良い。
  • 予算のレベル感がわからない場合は、松竹梅プランで分けて提案すると良い。
  • 相手のMAXの予算がわからなければ、先方の売り上げと社員数で推測するのも良いと思います。
  • 請負契約で仕様変更が多そうな場合は1.5倍で見積もっておく。
  • 工数の算出方法はいくつか方法がありますが、私は基本的には単価×工数で算出する場合が多いです。東京だとWebエンジニアなら月単価80万〜120万くらいが相場な気がします。

まとめ

  • 商談の前にしっかり、事前準備を行いましょう。
  • 契約や見積もりを商談の段階でミスするといくら工数削減しても、利益がでないので、見積もり作業は重要です。
  • 見積もり金額はクライアントに合わせて、柔軟に複数のプランで提案すると良いと思います。
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この記事を書いたPM
鈴木孝之 / kanbo
@kanbo
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1990年神奈川県生まれ。多摩大学経営情報学部卒。文系の学部を卒業後、2013年に東京のITベンチャー企業にシステムエンジニアとして入社し、プログラミングを習得。

その後、株式会社フルスピードにwebエンジニアとして入社。フルスピードでは、大規模な広告配信サービスの管理画面開発を担当し、サーバサイド(php)からフロントエンド(JavaScript)まで幅広い開発に従事。2017年4月に独立。

リモートで地方や沖縄で1年弱、フリーランスを経験した後、2017年11月に沖縄で起業し、株式会社Re:Buildを設立。 現在は東京の企業様からのベトナムのオフショア開発が絡んだ開発案件を2件請けつつ、自社Webサービスも開発中。

台湾や日本の500~1000人規模エンジニア向けカンファレンスにも多数登壇。